次回道場のゲストである青木理氏の著書
『ルポ 国家権力』を読みました。
これまで雑誌や新聞に掲載した記事を
集めたもので、青木氏がいかに国家権力に
対して地道かつ綿密な取材を続け、
言論の立場から切り込んでいったかが
端々から伝わってきました。
ジャーナリストとしてのスタンスは一貫しています。
自分は安全地帯にいて、批評家然としていることを
もっとも嫌い、権力に刃を向けながら、
常に自分にもその刃を向けているように感じました。
青木氏はこう綴っています。
「ある方向に流れが大きく傾いているとき、
その流れに乗って皮相で勇ましい感情論を
振りかざすのはたやすい。一方、冷静な視座を
保ってその奔流に抗い、指摘すべき事実を指摘するには
大変な勇気と労力を要する。しかし、それはいまの私たちに
最も必要な態度のように思う。ましてメディアに
かかわるものは特にそうだろう」
「政権交代への失望が拡散することで最も怖いのは、
政治不信の一層の深まりだろう。ひょっとするとそれは、
冷ややかなニヒリズムの蔓延と、その反動として
ひどく激情的で危険な社会風潮を引き起こしかねない」
いずれも2010年に『沖縄タイムス』に掲載された文章の
一部ですが、私は大きく頷いてしまいました。
色あせるどころか、青木氏が危惧した世の中へ
まっしぐら・・・。
それでも自らは冷静な視座を失うことなく、
ニヒリズムに陥ることなく、言論の場で闘って
いらっしゃるのだと思います。
当日、お目にかかるのが楽しみです。